音楽葬の記憶

10月14日
雨が降り、気温も低い。
長袖の茶色さんスウェットを着込み、立食い蕎麦屋「八兆」でアジ天そばを胃袋にフィッシュインしてから、渋谷に向かう。クアトロでライブなんて何年ぶりだろうか。
11時前にクアトロ着。すでに羊歯大明神のサウンドチェックが始まっている。久土くんの右手には包帯が…
フロアにはドラムセットを組み立てている中村達也氏。スタッフやPAの長沢さんに挨拶。
間もなくナポさん、BAKIさん、クハラさんなど続々と会場入り。ついにこの日が来てしまったんだなぁ。
台風の影響もあり、THE ENDのリハーサルは前日の13日にギリギリセーフでやることができた。リハ1回で大丈夫かなと内心思っていたのだが、さすがのBAKIさん、見事に仕上げてきてくれた。
THE ENDのサウンドチェックが終わり、本番までかなり時間があるので、外に出ようかと思っていたが、天気も悪いのでロビーに飾られたミチロウさんの写真や資料を眺めたり、他の出演者のリハーサルを見て過ごすことにしたのだが、AZUMIさんや友部さんのリハを聞いてすでに涙腺が崩壊。ヤバい。
楽屋に戻ると、ミチロウさんが好きだった崎陽軒のシウマイ弁当がどっさり届いている。ナポさんは何処かへ行ってしまったらしく、女性用楽屋で真理ちゃんと並んで食べる。
禁煙楽屋にはギターを持って集中しているBAKIさん、友部さんは万年筆でカノンの歌詞を書き写している。友川さんの曲をチェックしている坂本さん。伊藤多喜雄さんとバンドの方々も到着。
女性用楽屋では白崎映美さんとAZUMIさんの打ち合わせが始まった。痛そうな手でギターの弦を張り替えている久土くん。
喫煙楽屋にはトシさん、クハラさん、切腹ピストルズの面々。どこかで飲んでいたらしい友川さんもやっと現れた。
ピアノをきれいに磨いているタテさん、PIKAのサウンドチェックも終わり、いよいよ開演時間が迫ってきた。
友川さんの付き人の大関くんは古くからの知り合いなのだが、会うのは何十年ぶりだろうか。昔、Overhang Partyというバンドにいた頃、友川さんと対バンしたことがあったなぁと思い出す。
客席は満杯なので、楽屋のモニターで演奏を聞くことにするが、小さな音やMCは聞こえないのが残念。でも素晴らしい演奏なのは伝わってくる。
三平酒寮で飲んでたらしいナポさんも焼酎片手に戻ってくる。今日は飲まないで演奏しようかなと思っていたのだが、結局コンビニにサッポロ黒ラベルを買いに行ってしまった。
M.J.Qが終わり、いよいよTHE ENDの出番。
ステージに上がる前に久土くんから何か声をかけられたのだが、それがとても嬉しかった。
演目はドアーズの「Break On Through」「Light My Fire」、そして「インディアンムーン」「天国の扉」。
音楽葬の曲目に関しては、THE STALIN時代の曲とソロになってからの曲に二分されるのは分かっていたので、自分としてはザなしスターリン時代の曲を1曲だけでも入れたかった。だから「インディアンムーン」は絶対にやりたかった。
本当のことを言えば、自分が一番やりたいのは「飢餓々々帰郷」だが、それはTHE ENDでは無理だ。
演奏が終わってから楽屋に戻ると、友部さんに「ベース良かったよ」と言っていただいた。これは死ぬほど嬉しい!
友部さん、言えなかったけど、高校生の頃「なんでもない日には」のレコードにサインしてもらったことあるんですよ!
ミチロウさんと最後に演奏してからまだ1年数ヶ月。でももうあなたはこの世にいない。
この先、まだ音楽は続けるつもりではいるが、あなたのようなヴォーカリストに出会うことはないだろう。もうロックバンドなんてやらないかもしれない。
ルー・リードが死んだ時にどんな気持ちになったのか、フェルナンド・ソーンダースさん教えてくれよ。